今回はコンピテンショーディクショナリーについて詳しくお話をします。
コンピテンシーディクショナリーは、第二話でも述べましたように、業績をあげている人々のコンピテンシーを多数抽出して、心理学的な分析を施して有効と思われるものを分類してリスト化したもので、コンピテンシーの定義と各々のレベルの内容を記述したものです。そのうち、主要なものを幾つか挙げますと、達成志向力、対人影響力、対人理解力、顧客志向力、情報探求力、リーダーシップなどで、これらに定義とレベル毎に記述があります。
顧客志向力を例にとって、定義と各レベルの記述を挙げてみましょう。
定義は『直接に顧客に接し、顧客が求めているものを、敏感に且つ正確に把握し、対応していく能力』です。
次に、レベル1は、『顧客からの直接、要求されたことに対しては対応しているが、自主的に顧客満足につながるようなことを察知したり、研究したり、対応することはない』です。
レベル2は、『自ら、顧客の満足度や要求を常にモニターし、不満な点については、顧客からその理由を聞き出し、対応している』です。
レベル3は、『顧客の言葉だけでなく、様子や雰囲気から、相手が求めているものや不満な点を敏感に察知し、対応している』です。
レベル4は、『直接多くの顧客に接することで顧客ニーズの一般的な変化や兆候を敏感に感じ取り、その変化や兆候への対応を継続的に考案し自ら実行している』です
最後に、レベル5は、『今まで存在しなかった市場のニーズを自ら創造するような商品やサービスのあり方を考案し、自ら実行している』です。
顧客志向力のコンピテンシーはスーパーや居酒屋の店員さんの行動が比較的にわかりやすい事例になると思います。
私が以前、訪れた居酒屋では、店に入ってビールが出てくるまでに5分以上掛かり、その後の追加も何度も催促しなければなりませんでした。また、料理も食べ終わって、次の料理を待っていても、なかなか来ないのでやはり催促をしなければならなかったのです。これはレベル1にも満たないレベルといわざるを得ません。その店は大阪の繁華街にあるにも拘わらず、2人で2時間滞在して一人当たり単価2千円くらいでした。これは料理やお酒の価格が安いというわけではありません。顧客をよくモニターせず、ビールや料理を持ってくるテンポが悪かったために、客単価を大きく下げてしまったのです。
このような事例は、時々見られるのではないでしょうか?
次回もこの続きをお話したいと思います。
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