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靖 伊藤

AHPコンピテンシーコラム第50話

日常で気がついたコンピテンシー。 私は以前、商社に勤めていました。そこで高い成果を上げていた一人の商社マン(Aさん)がいました。今回はAさんの話をします。商社は海外で日本からのお客様を迎え、現地のパートナーやお客様にお連れしたり、その後のプライベートタイムにおいては色々なお世話をしたりしました。Aさんは、まず、日本からのお客様を迎える時は、本社に電話やテレックスを入れて、仕事の詳しい内容や背景、お客様が現地で何を調べたいのか、このお客様にどのような対応をすべきか、お客様の趣味、食べ物の好き嫌い、どのような人柄か等を確認していました。一方、現地のお客様に対しては、逆に日本から来られるお客様からどのような情報を得たいのかを事前に打合せで話をしたり、例えばプロジェクトであれば、現場に出向き、現地の状況を自分の目で確認して、客先から言われていない事でも、本社に対してその旨を伝えて、日本からのお客様が来られる時に持ってきていただくようにしたりしていました。また、日本から来られるお客様に対しては、本社から得た情報を元に、自宅での食事やレストランなどを用意することにより、仕事以外の面でもお客様の満足を得て、プロジェクトの実現を支えていました。

 さて、それでは彼はどのようなコンピテンシーを発揮していたのでしょうか。まず、事前に日本や現地から様々な情報を集めていましたので、これは「情報が必要な際は、自分の周りだけでなく、様々なところに積極的にコンタクトし、幅広く正確な情報を入手している」レベルの情報収集力のコンピテンシーを発揮していたことになります。また現場の状況の調査においては、「顧客の様子から、相手が求めているものを敏感に察知し、対応している」レベルの顧客志向力を発揮していたと言えるでしょう。そして、このように情報収集力と顧客志向力を駆使してお客様にできる限りの沿ったサービスを提供していたのは、「通常からあらゆることを配慮し、ミスや問題の発生要因を事前に確認し、問題やミスの発生の未然防止策を講じている」レベルの徹底確認能力を発揮していたと言えるでしょう。

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