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靖 伊藤

AHPコンピテンシーコラム第7話


今回は対人理解力についてお話します。

対人理解力は、「単に言葉や態度で伝えられたものだけでなく、言外にある意味も含めて、相手の気持ちや考えを、自分の考えや感情で歪めることなく、その通りに正確に理解していく能力」です。

対人理解力のレベルを1から5に並べてみると、次のようになります。

レベル1

明確に口に出して言われたことはその趣旨を理解している。レベル2

相手の伝えようとしていることは、その言葉の内容だけでなく、その時の様子や雰囲気から関連する相手の感情も含めて理解している。

レベル3

言葉では明確に表現されない場合でも、相手の雰囲気から正しく理解している。

レベル4

相手の性格や行動の特徴など相手のバックグラウンドを理解し、相手が伝えようとしている考え、気持ちの背景までを含めてその通り共感的に理解している。

レベル5

深い傾聴力を発揮して、相手が深層心理までを共感的に理解しており、人から難しい悩みや相談を持ちかけられ、実際に相手がその悩みを解決している。

対人理解力は、ベースコンピテンシーとも言うことのできるコンピテンシーで、顧客志向力を支えるものでもあります。例えば、新人の営業マンがお客様と色々やり取りをした挙句の果てに、お客様から「それでもいいから提案してくれ」と言われたのを、鵜呑みにして、提案したところ、即却下されてしまったりすることがあります。このことについて、どのようなやり取りをしたか訊いたところ、「お客様はこれでもいいからと言ったんですけどね」と言うので、その場面の話を更に深く訊いていくと、お客様の表情が歪んでいたなど、レベル2やレベル3を発揮していれば、避けられたことが分かることもあります。

私自身もこの能力が不足していたため、今まで色々失敗を重ねてきましたが、自分のレベルを厳しく評価した上で、いかなる局面でも、一つ上のレベルの行動は何であるかを意識して振舞うようになってから、少しずつ改善してきたのではないかと感じています。

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