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靖 伊藤

AHPコンピテンシーコラム第110話

暫くの間、「日常に見るコンピテンシー」から少し離れ、コンピテンシーの活用の方向とそれに関わるスキルやモチベーション等の効能について、お話ししてきました。

先にもお話ししたように、コンピテンシーはある種「再現力」です。先ずは、自分が今、行なっている行動から発揮しているコンピテンシーを把握し、それらのコンピテンシーに基づく行動を意識的に実行することで、コンピテンシーの発揮が継続的に行われ、最後には無意識にそのような行動が行われるようになります。ただ、それだけでは発揮されないコンピテンシーの開発にはなりません。他人の行動を見たり、聴いたりすることで、その人を行動からコンピテンシーを理解し、そのコンピテンシーを自分の日常業務に置き換えた場合、どのような行動になるのかを考え、それを持続的に実施し、自分のコンピテンシーに取り込んでいくことが重要です。

今まで「日常に見るコンピテンシー」で描いてきた色々な人の行動は他人の行動をコンピテンシーに落とし込む為の材料になります。ただ、その行動をそのまま真似するだけではうまくいくとは、限りません。その行動を取った裏に秘められている考え方等を理解し、具体的な行動を一旦抽象的な考え方と行動に変換した上で、自分の廻りの状況を織り込んだ自分独自の行動に書き換える事が重要なのです。

色々なセミナーや講演を聴いた後で、その感想を訊いてみると、「非常に良かった」という感想が聞かれます。そこで何が(行動や志向)良かったのかを訊いてみると、曖昧な答えがよく返ってきます。そういう時に、でてくるもう一つの感想は「でも、この話はあの人の立場であの仕事をやっているからで、自分には無理だろう」というものです。コンピテンシーは具体的な行動を指すものではありません。それらの行動を支える抽象化された概念であり、それはどのような職務でおいてもあてはめる事ができます。例えば、ジョン・ブランチャートが書き続けている「1分間シリーズ」の舞台は私たちの業務とは異なるものですし、ジョン・コッターの「カモメになったペンギン」は、動物を主人公に描かれています。しかし、そこに登場する人物や動物の取る行動はつきつめて考えると、私たちの行動は底辺を同じくするもので、それらの行動から学んだものを自分の行動に置き換える事がコンピテンシーを習得するということになると思います。

次回からはまた「日常に見るコンピテンシー」を再開しますので、それから感じられたコンピテンシーを自らの行動に書き換えてみては如何でしょうか?

 

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