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靖 伊藤

AHPコンピテンシーコラム第152話

飲食店の業績を左右するものの一つとして、常連客のリピート率が考えられます。これに影響を与えるものとして、その店のスタッフの接客力が挙げられます。今回はある中華料理店の女性スタッフAさんにスポットを当ててみたいと思います。

Aさんはその店の経営者の一人でしたが、日ごろは率先して来客の接待にあたっていました。それは随分前の話になりますがが、最初に私がその店を訪れたのはその店の常連客の一人の方との会食でしたが、その時もAさんの挨拶の仕方や配慮の仕方はその他のスタッフと違っていました。そこで、後日、予約をして家族を連れてその店を訪れました。最初に対応してくれたのは、マネージャクラスの男性でした。その人も1回目に訪れた際にお会いしていましたが、全くそのような素振りは見せず、初めて訪れたお客様に対する対応でした。最初に訪れたときはスーツを着ており、2回目はカジュアルな服装でしたので、普通の対応と考えた次第です。食事は個室ではありませんが、少し奥まったところでしていたので、他のスタッフとは殆ど顔を合わさずに進んでいましたが、偶々通りかかったAさんが何気なしに私たちの方を見て、すぐさまこちらにやってきました。そして、私の名前をきちんと挙げて、「いついつはおいで下さりありがとうございます」とご挨拶を頂いたのでした。その後、私たちのテーブルに対しては色々配慮がなされ、益々その店のファンになったことを覚えています。

ここで、Aさんが発揮していたコンピテンシーについて考えてみたいと思います。1回しか会っていないにも拘わらず、私の名前と顔を覚えていて、名前を挙げて前回の感謝を述べたことは「直接に顧客に接し、顧客が求めているものを、敏感に且つ正確に把握し、対応していく能力」である『顧客志向力』のコンピテンシーであり、「直接多くの顧客に接することで顧客ニーズの一般的な変化や兆候を敏感に感じ取り、その変化や兆候への対応を継続的に考案し自ら実行している」レベルが発揮されていると考えます。また、また名前を憶えていてくれるということ自体が相手にとって自分を特別なものと考えてくれていると気持ちにさせる、いわばモチベーションに関わるものですので、「社内外の関係者に対して、あらゆる説明の方法やツールを駆使しながら、こちらの考えている通りに相手が納得し、動いてもらうように影響を与えていく能力」である『対人影響力』の表れであり、「理論武装、説明資料などを準備するだけでなく、相手の人間的な特性を敏感に見抜き、その特性に合わせた説得方法を事前に綿密に準備をした上で、様々な手管を用いて、相手が聞き入れるまで諦めずに説得を続けている」のレベルが発揮されているものと考えます。また、多くのお客様が来店する中、常連客の知り合いとはいえ、1回しか来たことのない私の名前を憶えていて、満足のいく対応をしたことは、「自分の業務環境において、現状や問題などを正確に理解、整理、分析し、自分としての解決策を考案する能力」である『分析的思考能力』の現れであり、「情報やデータをただ分析するだけでなく、それに基づく洩れダブりのない原因究明を行い実行可能な対応策を自らで考え出している」のレベルが発揮されているものと考えます。

このような行動は一見当たり前と考えられがちですが、実際にできている人は非常に少なく、このような行動を日々当たり前に行えるスタッフが多い店は常連客のリピート率が上がっているのではないでしょうか?

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