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靖 伊藤

AHPコンピテンシーコラム第28話

日常で気がついたコンピテンシー。 外食店も流行っているところと流行っていないところがありますが、やはりそれなりの理由があると思います。その理由としては、仕組みと人とがあり、人としてはリーダーと店員がありますが、今回は外食店のリーダー、即ち、店長にスポットを当ててみたいと思います。

先日、テレビで放映された外食店では、店長が開店前には全ての店員を集めて、的確な役割分担と指示を出し、開店している間は、常に店員の動きを観察し、コップを割ったりするなどのトラブルが起こると、率先してその現場に駆け付け、お客様にお詫びすると共に、店員には素早く指示を出して処理をさせ、然る後に注意を加えていました。そして、終礼では各店員にその日を振り返らせて明日に向かって行けるように統制を加えていました。

一方は、私自身が先日行ったある居酒屋は、私の知り合いの友人がオーナーの店とのことで、私の知り合いは、オーナーである友人から「儲からない」とぼやかれている店で、知り合いとこの店に行ってみたところ、入店した時だけは威勢の良い声が聞こえてきたのですが、その後の対応が良くありませんでした。そこで店長は何をしているのかと観察していると、店長は店員に混じって黙々と作業をしているのです。それも私たちの目の前にいたのですが、他の店員が「店長」と呼びかけたのでやっとわかった訳ですが、私が頼んだビールが5分経っても来ないので、催促しても、この店長はそれを気にするでもなく、ただ黙々と作業をしていましたし、店長に対して頼んだビールも5分経っても来なくて催促したという有様でした。

さて、ここで、この二人の店長のコンピテンシーを比べてみたいと思います。前者は、顧客志向力の「顧客の様子から、相手が求めているものを敏感に察知し、対応している」レベルと共に、チームリーダーシップの「自ら組織全体の方針を考えて打ち出し、部下に対して出来る限りのサポートや動機付けを自ら行ない部下全体から信頼され、方針に沿って組織を導いている」レベルや他者育成力の「模範行動のみならず、その理由や概念など詳細な説明を本人が納得できるまで丁寧に説明することで指導・育成を行っている」のレベルを発揮しているのに対し、後者は顧客思考力、リーダーシップそして他社育成力のすべてにおいて、コンピテンシーを殆ど発揮していないといえる状態で、それが最終的には、前者が大入り満員で繁盛しているのに対して、後者はオーナーが満足できるレベルの売り上げを上げることができないと結果につながってのではないでしょうか。


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