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靖 伊藤

AHPコンピテンシーコラム第48話

日常で気がついたコンピテンシー。 今回は、あるスーパーで出会ったアルバイト社員のお話です。最近はパート社員やアルバイト社員が各企業戦力の大きなウェートを占めており、各企業とも彼らに対する教育に力を入れているようですが、やはり、個人差があり、均一の顧客サービスを提供できていないところが多いようです。

 私が先日訪れたスーパーマーケットでは2種類のカードを発行しており、その日もアルバイト社員が1つのカード(Aカード)のキャンペーンを展開していました。私はそのカードではなくもう一つのカード(Bカード)がほしかったので、「Bカードを取り扱っているところはどこか知りませんか」と尋ねたところ、一人の男性(Aさん)が「ここはAカードで、Bカードは扱っていません」と答えてきました。私は少しムッときて同じ質問を繰り返したところ、隣で他のお客の相手を終了した女性(Bさん)がすぐさま、「申しわけございません。ここではBカードをどこで扱っているかはわかりませんので、5階のサービスカウンターでお尋ねいただけますか?」と答えてきました。

 ここで、この二人のアルバイト社員のコンピテンシーを考えてみたいと思います。まず、Aさんはこちらの質問の意図を理解しておらず(或いは理解していたとしても、それに対応しようという気持ちがなく)、自分の仕事に関係ないことは知らないという態度を取っています。これは顧客志向力のコンピテンシーでは「顧客からの直接的な要求に対しては対応している。」というレベルにも満たないレベルです。一方、Bさんは、私の雰囲気から気分を害していることを察知し、自分では対応できないが、その代わり情報を与えるという対応をしており、顧客志向力のコンピテンシーでは「顧客の様子から、相手が求めているものを敏感に察知し、対応している。」レベルを発揮しています。また、柔軟性のコンピテンシーでは「業務遂行や問題解決に際し、既存の複数の方法を持ちそれを状況に応じて柔軟に使い分けている。」レベルを発揮しています。このような仕事に従事させるアルバイト社員を採用する場合は、少なくとも「顧客からの直接的な要求に対しては対応している」レベルの人を見極めることが必要で、採用後の教育においてもBさんのような行動を求めることがその企業のお客様の評価を受け取るために、必要なことではないでしょうか?

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