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靖 伊藤

AHPコンピテンシーコラム第56話

日常で気がついたコンピテンシー。 今回は事務職が発揮しているコンピテンシーです。

私の知っているある事務職の女性は、会社の管理部門で数年勤めていましたが、大変信頼が置ける人でした。入社当初でこそ、分らないことはすぐ上司に訊いていましたが、仕事に慣れてくるにつれて、仕事に必要なことはまず自分で調べたり、どうしても分らないことは上司にただ訊くだけでなく、何をどのように調べればよいかを訊いたりして、内容をよく理解して仕事に役立てていました。また、上司の曖昧な指示に対しては、その真意を理解するために色々質問した上で、指示されたことだけではなく、上司が望んでいることを推し量り、次に指示しようとしていたことまでしていていました。勿論、頑張り屋さんで翌日までに終えなければならないことは遅くまで残って仕上げ、その日のうちにやり残したことはメモに書き留めて、翌朝、早く来て就業前に済ませていました。

さて、それでは彼女はどんなコンピテンシーを発揮していたか考えてみましょう。まず、仕事に必要なことを調べて活かすことは「現在の業務に必要な最低限の知識を持ち実際に仕事で活用しており、更に今必要なレベル以上の専門的な知識を自ら拡大する努力をし、それによって身についた専門性を実際に仕事で使っている」レベルの専門知識拡大活用能力です。また、上司の曖昧な指示に対する対応は、「顧客の満足度を常にモニターし、不満な点については、顧客からその理由を聞き出し、対応している」レベルの顧客志向力であるといえます。そして、やらなければならない仕事をその日に遅くなってもその日の内に終えたり、その日の内にやらずに残したことをメモに書き留めて翌朝早く済ましたりしていたことは、「自分の達成目標を自分で理解し、その達成に向けて努力している」レベルの達成志向力と言うことができるでしょう。

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